ヤフーの新卒一括採用廃止から考えるこれからの採用サイト

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ヤフー株式会社が先日、新卒一括採用を廃止し30歳以下であれば誰でも応募できる
「ポテンシャル採用」を開始し通年採用するとしました。
ヤフーはこれについて「第二新卒や既卒の方に対して平等な採用選考機会を提供できない
ことに加え、昨今、海外留学生や博士号取得者など就職活動の時期が多様化し、
従来よりも柔軟な採用の枠組みが必要となってきたため」としています。

これに先立つ2015年にはリクルートホールディングスが「30歳以下は誰でも新卒採用」をコンセプトに
新卒採用を行っており、これまで日本の大多数の企業で行われてきた新卒一括採用の”常識”が崩れていく可能性があります。

■欧米と日本の採用の違い

これまで日本企業で行われてきた新卒採用は、採用時にポストを限定せず、
入社後の研修やOJTを経て適性を判断され、ジョブローテーションを繰り返していくという
人事制度を前提としていました。また、いわゆる「年功序列」の風土を持つ企業では、
多様な年齢構成を持つ組織はマネジメントしにくかったと思われます。
このため日本の若者は、スキルがなくても「企業カルチャー」にフィットしさえすれば
入社が可能であり、欧米諸国と比べて若者の失業率が低くなるというメリットがありました。

一方、カルチャーという曖昧な要素に頼った大量採用のデメリットとして、
入社後の人材ミスマッチが生じ、活躍できない社員が現れるということも見過ごせません。

一方の欧米諸国では特定のポジションニーズに対して採用が行われる「ジョブ型採用」が主流となっており
明確な人材要件のもと、専門スキルのある人が採用されます。これにより能力のある人が優先され
企業側は育成コストをかけず、ポジションへのマッチも期待できるというメリットがあります。
一方、スキルの無い若者は失業する恐れがあるほか、採用された特定の部署が必要なくなった場合は
社内での異動などはなく解雇というケースが多く生まれてしまうデメリットもあります。

■ヤフーのようなポテンシャル採用が行われることによりどのような変化が起こるのか

これは新卒一括採用のようにスキルの全く無い新卒者を取る訳でもなく、
かといって欧米型のようにポジション要件を明確にした採用を行う訳でもなさそうで
その名の通り”ポテンシャルのある人”というのが採用基準となります。

何のポテンシャルを必要とするかは採用する企業にもよるかと思いますが
ヤフーがエンジニア、デザイナー、企画提案営業職をポテンシャル採用しているように、
ある程度人材要件を明確にしやすいポジションから浸透が始まると思われます。
能力がありながらも人材ミスマッチの結果、転職せずにいた人材が労働市場に出てくるため、
市場が活性化すると予想されます。

転職者側も、エンジニアで採用されたいのであればプログラミングの実力を感じてもらう必要があるため
まずは自分でサービスを作ってみるのもいいでしょう。プログラミングを学ぶのであれば
ドットインストールというプログラミング学習サイトもあるため、いまは無料で学ぶこともできます。
会社によっては、Githubアカウントを提出する採用試験もあります。
デザイナーであれば自分でデザインしたサイトを見せたり、ポートフォリオを作っておく必要があります。
企画提案営業では問題解決能力が問われるため自分なりの考えや実績を
伝えられるよう何かしらの形を残しておかなくてはならないかと思います。

いずれにせよポテンシャルを感じてもらうためには、土台となる実績やスキルが求められそうです。
個人的には自分で一度webサービスを作ってみると、マーケティングやプログラミング、
デザインのスキルが一気に学べるので良い気がします。

■労働市場が変わる今、中小企業が採用を成功させるためには?

新卒一括採用が変化しようとしている今、この流れを中小企業はどう活かせばいいのでしょうか。
以前ランチェスター戦略の回でも書きましたが、採用ブランド力も規模も勝る大手に直接ぶつかっては勝ち目がありません。

1)自社に来て欲しい人材や育成方針を採用サイトに明確に打ち出す
中小企業の採用方針は「届けたい人だけにメッセージをきっちり届ける」。これに尽きます。
新卒一括採用の変化によって、優れたポテンシャル人材に会えるチャンスは確実に増えます。
ミスマッチを起こさないように、きちんとどんな人材が欲しいのかをアピールしておきましょう。

2)アプローチ先を広げてみる
多くの企業が採用サイトを主に大学3、4年生を対象に作っています。
これは経団連の「採用選考に関する指針」に沿ったものですが、中小企業の場合はインターンやアルバイト募集を
積極的に行い、アルバイトからそのまま就職してもらうぐらいの方が良いかもしれません。
そのため大学1、2年生を対象にしたアルバイト募集サイトを構築していくことも有効でしょう。

※ただアルバイトをすると良くも悪くもその会社の本当の姿がみえるため
就職してもらいたいと思うような仕組みづくりは考えないといけません。

ユナイテッドイノベーションでは採用サイト、ブランディングやアルバイト募集サイトの構築を行っていますので
是非お気軽にご相談ください。